消費者団体訴訟と集団訴訟 — 日本の制度と原告団形成の実際

法的制度・消費者保護|消費者団体訴訟と集団訴訟の3カテゴリ(差止請求・被害回復・選定当事者制度)と認定団体27団体・特定適格4団体を整理したインフォグラフィック

この記事の要点

日本の消費者保護に関する集団的救済制度は、消費者契約法に基づく適格消費者団体の差止請求と、消費者裁判手続特例法に基づく特定適格消費者団体の集団訴訟の2階層構造である。集団訴訟はさらに、第一段階(共通義務確認の訴え)と第二段階(個別の被害回復)の2段階で進む。これに加えて、民事訴訟法上の選定当事者制度・共同訴訟がある。ネット上で「被害者の会」を名乗る任意団体とは、制度的に明確に異なる。

  • 2026年5月時点で、適格消費者団体は全国に27団体、そのうち特定適格消費者団体は4団体(消費者機構日本・消費者支援機構関西・消費者支援ネット北海道・埼玉消費者被害をなくす会)が内閣総理大臣の認定を受けている
  • 2022年改正の消費者裁判手続特例法(2023年10月1日施行)により、対象範囲の拡大・情報開示の前倒し・事業者への個別通知義務化・消費者団体訴訟等支援法人制度の新設等が実現した

※ 本記事は消費者庁「適格消費者団体・特定適格消費者団体」公式情報、消費者庁「全国の適格消費者団体一覧」、COCoLiS(消費者団体訴訟制度ポータルサイト)、消費者庁「消費者団体訴訟制度成果事例集」、国民生活センター「消費者団体訴訟制度の紹介」、消費者契約法、消費者裁判手続特例法、民事訴訟法を一次資料として構成

消費者と事業者の間には、情報の質・量・交渉力に構造的な格差がある。少額の被害が多数の消費者に共通して生じている場合、個々の消費者が単独で訴訟を提起しても、時間・費用・労力に見合わないことも少なくない。このような構造的問題を解決するため、日本では消費者契約法に基づく差止請求制度と、消費者裁判手続特例法に基づく被害回復制度が整備されている。

本記事では、これら集団的救済制度の全体像、適格消費者団体と特定適格消費者団体の制度的位置づけと最新の認定状況、消費者集団訴訟の2段階構造の手続き、民事訴訟法上の選定当事者制度・共同訴訟との比較、ネット上で「被害者の会」を名乗る任意団体との制度的違いを、関連する代表事例とあわせて整理する。

監修

城島 誠一郎(公認サステナブル経営リサーチャー/元 警視庁刑事部 捜査一課・捜査四課)



日本の消費者保護に関する集団的救済制度の全体像

消費者被害の集団的救済を担う日本の制度は、大きく3つのカテゴリで構成される。これらは目的・主体・効果の点で明確に区別される。


3つのカテゴリ

カテゴリ根拠法主体主な効果
差止請求消費者契約法・景品表示法・特定商取引法・食品表示法適格消費者団体事業者の不当な勧誘・契約条項・表示の停止
被害回復(集団訴訟)消費者裁判手続特例法特定適格消費者団体多数の消費者の財産的被害の集団的回復
個別民事訴訟の集団化民事訴訟法消費者個人(代表者・共同訴訟人)選定当事者制度・共同訴訟による集団化

差止請求制度は2007年6月に消費者契約法の改正により始まった。当初は消費者契約法のみが対象だったが、その後、景品表示法、特定商取引法、食品表示法へと対象範囲が拡大されている。

被害回復制度は、2013年に成立した消費者裁判手続特例法により2016年10月1日から運用が始まった。2022年6月1日に改正法が公布され、特例法関係は2023年10月1日に施行された。改正により、対象範囲の拡大・情報開示の前倒し・通知公告の強化・第一段階で可能な和解類型の拡充・行政の公表情報の拡充・消費者団体訴訟等支援法人制度の新設等が実現した。


米国型クラスアクションとの違い

「集団訴訟」という言葉から、米国型クラスアクションを想起する読者もいる。しかし、日本の特例法に基づく集団訴訟は、米国型クラスアクションとは構造が異なる。米国型クラスアクションが「オプトアウト型(原則として全員が訴訟参加者となり、離脱を希望する者だけが除外される)」であるのに対し、日本の特例法は「オプトイン型(個別消費者が第二段階で自ら手続に参加する)」を採用している。さらに、訴訟提起の主体も、米国では原告となる消費者個人(または代理人)であるのに対し、日本では特定適格消費者団体に限定されている。


適格消費者団体と特定適格消費者団体 — 消費者契約法と特例法

「適格消費者団体」と「特定適格消費者団体」は、名称は似ているが、認定要件・権限・根拠法のいずれも異なる別個の制度である。


適格消費者団体

適格消費者団体は、消費者契約法第13条以下に基づき、内閣総理大臣の認定を受けた法人である。主な認定要件は次のとおりである。

  • NPO法人または一般社団・一般財団法人であること
  • 不特定多数の消費者の利益擁護を主目的として、相当期間継続的に適正な活動を行っていること
  • 差止請求のための組織体制・業務規程・専門家(弁護士・消費生活相談員等)・経理的基礎を備えること

適格消費者団体は、消費者契約法・景品表示法・特定商取引法・食品表示法に違反する事業者の不当な行為(不当な勧誘・不当な契約条項・不当な表示)に対して、差止請求権を行使できる。認定の有効期間は6年であり、更新制となっている。


特定適格消費者団体

特定適格消費者団体は、消費者裁判手続特例法第65条に基づき、適格消費者団体のうちから新たな認定要件を満たすものとして内閣総理大臣の認定を受けた法人である。新たな認定要件として次のものが追加される。

  • 適格消費者団体として2年以上継続して適正な活動を行っていること
  • 理事のうち1名以上が弁護士であること
  • 被害回復裁判手続のための組織体制・業務規程・経理的基礎を備えること
  • 消費者から受け取る費用が不当に高額でないこと

特定適格消費者団体は、差止請求権に加えて、消費者裁判手続特例法に基づく被害回復裁判手続を追行する権限を独占的に有する。認定の有効期間は、2022年改正前は3年、改正後は6年となった。


消費者団体訴訟等支援法人(2023年新設)

2022年改正の消費者裁判手続特例法により、新たに「消費者団体訴訟等支援法人」の制度が設けられた。この法人は、消費者団体訴訟制度の実効的な運用を支えるため、特定適格消費者団体・事業者等・内閣総理大臣の事務の受託等の支援業務を行う主体として、内閣総理大臣の認定を受けた法人である。集団的救済制度の運用基盤を強化することを目的としており、被害者個人への通知・公告等の事務的負担を支援する役割を担う。


特定適格消費者団体の認定要件と現状の認定団体一覧

2026年5月時点で、消費者庁が認定する適格消費者団体は全国に27団体、そのうち特定適格消費者団体は4団体である。


特定適格消費者団体(4団体)

団体名所在地適格認定特定適格認定
特定非営利活動法人 消費者機構日本(COJ)東京都2007年8月2016年12月27日(第1号)
特定非営利活動法人 消費者支援機構関西(KC’s)大阪府大阪市中央区2007年8月2017年6月
特定非営利活動法人 消費者支援ネット北海道北海道2007年2017年
特定非営利活動法人 埼玉消費者被害をなくす会埼玉県2009年2017年

消費者機構日本(COJ)は、2016年12月27日に内閣総理大臣より特定適格消費者団体の第1号の認定を受けた。東京医科大学事件・順天堂大学事件等の代表的な集団訴訟を担当してきた。消費者支援機構関西(KC’s)は2017年6月に特定適格消費者団体に認定され、関西地方を中心に活動している。消費者支援ネット北海道・埼玉消費者被害をなくす会も、それぞれ各地域における消費者被害の集団的回復を担う。


適格消費者団体(27団体)の概要

適格消費者団体は、2026年3月6日に「特定非営利活動法人消費者被害防止ネットながさき」が27番目の団体として認定された。全国の都道府県・地方ブロックごとに認定団体が配置されており、消費者市民ネットとうほく・消費者ネット広島・京都消費者契約ネットワーク・ひょうご消費者ネット・大分県消費者問題ネットワーク・消費者支援ネットくまもと等が含まれる。最新の認定団体一覧は、消費者庁「全国の適格消費者団体一覧」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/collective_litigation_system/about_qualified_consumer_organization/list/)で確認できる。

特定適格消費者団体の最新一覧は、消費者庁「全国の特定適格消費者団体一覧」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/collective_litigation_system/about_qualified_consumer_organization/list_of_specified)、各団体の差止請求・被害回復裁判の情報を集約したポータルサイトとして「COCoLiS(消費者団体訴訟制度ポータルサイト)」(https://cocolis.caa.go.jp/)が公開されている。


消費者集団訴訟の2段階構造 — 共通義務確認の訴え/個別の被害回復

特定適格消費者団体が行う消費者集団訴訟は、2段階構造になっている。これは日本独自の制度設計で、米国型クラスアクションとは異なる。


第一段階:共通義務確認の訴え

第一段階は「共通義務確認の訴え」と呼ばれる。特定適格消費者団体が原告となり、事業者を被告として、「相当多数の消費者に共通する事実上・法律上の原因に基づき、事業者が金銭支払義務を負うべきこと」の確認を求める訴えを提起する。

この第一段階では、要件として「多数性(対象消費者が相当数存在すること)・共通性(被害の原因が共通すること)・支配性(共通義務確認手続で個別の被害回復が効率的に進められること)」が問題となる。代表事例である文化芸能国際交流機構(JAEXA)事件等でも、これらの要件が判示されている。第一段階で和解で終了することも可能であり、2022年改正により、和解類型は拡充された。


第二段階:簡易確定手続(個別の被害回復)

第一段階で共通義務が確定すると、第二段階の「簡易確定手続」が始まる。第二段階では、特定適格消費者団体が裁判所に手続開始を申し立て、裁判所が開始決定を出す。その後、対象消費者・対象債権・届出期間・認否期間が決定される流れである。

重要なのは、第二段階に参加するかどうかは、対象消費者個人が選択する点である(オプトイン型)。対象消費者は、定められた届出期間内に、特定適格消費者団体に対して授権手続(訴訟追行の委任)を行う必要がある。授権を行わなかった消費者は、第二段階の被害回復の対象とならない。

2022年改正により、事業者には対象消費者への「個別通知」が義務付けられた(第28条)。これにより、潜在的な被害者が制度の存在を知らないまま救済から漏れる事態を防ぐ仕組みが強化されている。


対象消費者の注意点

第二段階の手続を実行できるのは、当該事件を担当する特定適格消費者団体のみである。これは消費者裁判手続特例法に明文化されており、それ以外の者が「被害回復手続を進める」と称して個人情報や金銭を求める場合は、消費者庁の注意喚起「適格消費者団体等の名をかたる団体にご注意ください」の対象となる。対象消費者は、最新の認定団体一覧および各団体の公式サイトで、手続主体の真正性を確認することが推奨されている。


民事訴訟法上の選定当事者制度・共同訴訟

消費者団体訴訟制度とは別に、民事訴訟法に基づく一般的な集団化手続として、選定当事者制度と共同訴訟がある。これらは「被害者個人が原告となって訴訟を提起する」という枠組みであり、特定適格消費者団体が主体となる消費者裁判手続特例法とは構造が異なる。


選定当事者制度

選定当事者制度は、民事訴訟法第30条に基づく制度である。共通の利害関係をもつ多数の者が、自分たちの中から原告(または被告)となる者を選定し、その「選定当事者」が全員のために訴訟を追行する仕組みである。

選定された当事者は、選定者の代理人ではなく、自らが訴訟当事者として法廷に立つ。判決の効力は、選定当事者の判決として確定したうえで、選定者全員に及ぶ。これにより、多数の被害者が個別に訴訟を提起することなく、1つの訴訟で集団的な解決を図ることが可能となる。


共同訴訟

共同訴訟は、民事訴訟法第38条以下に基づく制度である。複数の者が共同で原告(または被告)となり、1つの訴訟手続のなかで複数の請求を併合して審理する形態である。共同訴訟人は、それぞれが独立した当事者であり、各自が訴訟行為を行う。

共同訴訟には、通常共同訴訟・必要的共同訴訟があり、消費者被害の集団化に用いられるのは通常共同訴訟である。1つの訴訟で複数の請求が併合審理されることで、判決の統一性が確保され、訴訟経済が図られる。


消費者団体訴訟との比較

選定当事者制度・共同訴訟は、被害者個人が原告となる枠組みであり、訴訟費用・代理人費用・時間的負担は原告(消費者)側に発生する。一方、消費者裁判手続特例法に基づく集団訴訟は、特定適格消費者団体が訴訟主体となり、第一段階の訴訟費用・代理人費用は団体側で負担される(第二段階で授権を行った消費者には一定の費用負担が生じる場合がある)。少額被害が多数の消費者に共通して生じている場合は、特例法に基づく集団訴訟のほうが効率的であることが多い。


『被害者の会』を称する団体との制度的違い

ネット上で「被害者の会」を名乗る任意団体と、消費者団体訴訟制度上の認定団体は、制度的に明確に異なる。両者の違いを正確に区別することが、消費者被害の救済を考えるうえで重要となる。


法的位置づけの違い

項目認定された消費者団体「被害者の会」を称する任意団体
認定主体内閣総理大臣なし(自由結成)
根拠法消費者契約法・消費者裁判手続特例法明文の根拠法なし(任意団体)
差止請求権有(適格・特定適格)なし
集団訴訟追行権有(特定適格のみ)なし
公的監督立入検査・認定取消等なし
情報公開義務財務諸表等の公表義務なし(任意)

「被害者の会」という名称自体は、社会的な意味を持つ表現であり、被害者の連帯や情報共有の場として機能することもある。ただし、この名称が法定の認定団体性を含意するわけではない。任意団体が自由に名乗ることができるため、運営主体・活動実態・第三者検証可能性を個別に確認する必要がある。


公的監督下にある認定団体の特徴

適格消費者団体・特定適格消費者団体は、内閣総理大臣による監督下に置かれる。具体的には、認定の更新制(6年ごと)、立入検査、認定取消等の措置に加えて、財務諸表等の徹底した情報公開措置(判決・和解等の概要の公表を含む)が義務付けられている。これにより、活動の透明性と適正性が制度的に担保されている。

消費者庁は「適格消費者団体等の名をかたる団体にご注意ください」との注意喚起を発信している。最新の認定リストは消費者庁公式サイトで公開されているため、消費者が「会」「団体」を称する組織に金銭・個人情報を提供する前には、まず消費者庁の最新リストで認定状況を確認することが、二次被害防止の鉄則となる。


買取大吉に関する公開情報の整理

2026年5月時点の公開情報の範囲では、買取大吉(株式会社エンパワー)を対象とする消費者集団訴訟・差止請求は、消費者庁が公表する適格消費者団体・特定適格消費者団体の公表案件一覧では確認できない。ネット上で「買取大吉 被害者の会」を称するサイトの存在自体は確認できるが、これは消費者契約法・消費者裁判手続特例法上の認定団体ではない。ネット上の「被害者の会」と公的認定消費者団体の制度的区別を踏まえた整理は、別稿の『買取大吉 被害者の会』に関する公開情報を整理するで詳述している。


実例として — 過去の集団訴訟・差止請求の代表事例

特定適格消費者団体による消費者集団訴訟は、医学部入試、教育・研修サービス、ファクタリング、海外旅行、エステ、電気供給契約等、多様な業種で展開されてきた。代表事例の概要を整理する。


東京医科大学事件(消費者機構日本)

東京医科大学が医学部医学科入試において、女子・複数年浪人受験生に対する不利な得点調整を事前開示せずに実施していたことについて、特定適格消費者団体である消費者機構日本(COJ)が、受験料相当額の返還を求める訴訟を2018年12月17日に提起した。2020年3月に確定判決(共通義務確認)、2020年7月に簡易確定手続開始決定が出され、対象受験生への個別通知・授権手続が進められた。本事案は、消費者裁判手続特例法に基づく日本初の本格的な集団訴訟として位置づけられている。


順天堂大学事件(消費者機構日本)

順天堂大学医学部医学科入試における同種の得点調整について、消費者機構日本が訴訟を提起し、2021年12月に確定判決が公表された。第二段階の簡易確定手続で、対象受験生への被害回復が進められた。


ZERUTA給与ファクタリング事件(埼玉消費者被害をなくす会)

給与ファクタリング業者ZERUTAに対する被害回復訴訟は、特定適格消費者団体である埼玉消費者被害をなくす会が提起した。さいたま地方裁判所で2021年3月に共通義務確認の確定判決が出され、消費者庁が同年5月に公表した。最終的に、消費者庁の「消費者団体訴訟制度成果事例集」によると、23名に対し合計193万7320円が回復された。被害総数・総額と比べると限定的な数字となった理由として、事業者が刑事有罪となり事業を停止したこと等が挙げられている。


差止請求の代表事例(消費者機構日本)

近年の差止請求では、(株)ストエネ(旧商号:(株)グランデータ)の電気供給約款変更に関する共通義務確認訴訟が継続している(2026年5月期日継続中)。また、後払い決済サービス事業者である(株)ネットプロテクションズに対し、支払い遅滞時の「延滞事務手数料」名目の請求条項等の差止請求訴訟が提起されている。山梨県に対する違約金条項の差止請求では、一審で全面的な認容判決が出されている。

これらの代表事例は、消費者庁「消費者団体訴訟制度成果事例集」(2018年10月から2025年8月までに終了した差止請求40事案・制度開始から2025年8月までの被害回復5事案を収録)で体系的に整理されている。判決の検索方法および係争類型別の探し方は、裁判所の判決検索 — 過去の係争を確認する手順で解説している。


本記事と組み合わせて参照することで理解が深まる関連記事を紹介する。


裁判所の判決検索手順

消費者集団訴訟・差止請求の判決を確認したい場合、裁判所ウェブサイトの「裁判例検索」と有料判例データベース(D1-Law・Westlaw Japan・TKC・判例秘書 等)の使い分けが鍵となる。当事者名のマスキング下での検索手順、係争類型別の検索方法、民事判決情報DB新法(2027年5月運用開始予定)の影響については、裁判所の判決検索 — 過去の係争を確認する手順で詳述している。


『買取大吉 被害者の会』の制度的整理

「買取大吉 被害者の会」というネット上の言及について、消費者契約法・消費者裁判手続特例法に基づく公的制度の観点から公開情報を整理した記事として、『買取大吉 被害者の会』に関する公開情報を整理するがある。法的に認定された消費者団体との制度的違い、消費者庁・国民生活センター等の正規ルートでの確認状況、ネット上の言及を読み解く視点を整理している。


買取大吉・株式会社エンパワーの経営体制

買取大吉ブランドを運営する株式会社エンパワーの経営体制・公的記録の整理は、買取大吉とアクセスジャーナル記事 — 公的記録に基づく検証で行っている。法人登記簿・元警察庁警視監顧問就任の公開情報等を組み合わせた検証視点を整理している。


よくある質問(FAQ)


Q1:適格消費者団体と特定適格消費者団体は何が違いますか?

A1:いずれも内閣総理大臣の認定を受けた消費者団体ですが、根拠法と権限が異なります。適格消費者団体は、消費者契約法に基づき、事業者の不当な行為(不当な勧誘・不当な契約条項・不当な表示)に対する差止請求権を持ちます。特定適格消費者団体は、適格消費者団体のうちから新たな認定要件(2年以上の適格団体としての活動・理事のうち1名以上が弁護士・経理的基礎等)を満たすものに対する認定で、消費者裁判手続特例法に基づく被害回復裁判手続を追行する権限を独占的に有します。差止と被害回復の両方の権限を行使できるのは、特定適格消費者団体のみです。


Q2:個人が集団訴訟を起こせますか?

A2:消費者裁判手続特例法に基づく集団訴訟(第一段階の共通義務確認の訴え)は、特定適格消費者団体だけが提起できます。個人が直接提起することはできません。一方、民事訴訟法に基づく選定当事者制度(第30条)・共同訴訟(第38条以下)を活用すれば、複数の被害者個人が1つの訴訟で集団的に解決を図ることは可能です。これは消費者団体訴訟とは別の枠組みで、訴訟費用・代理人費用は原告(消費者)側で負担します。個別の被害がある場合は、まず消費生活センター(消費者ホットライン188)に相談することが推奨されます。


Q3:『被害者の会』は適格消費者団体ですか?

A3:「被害者の会」という名称自体は、消費者契約法・消費者裁判手続特例法上の認定区分ではありません。任意団体が自由に名乗ることができる呼称です。適格消費者団体・特定適格消費者団体は、いずれも内閣総理大臣の認定を受けた法人に限られ、その正式名称は消費者庁公式サイトの認定一覧で確認できます。「被害者の会」を名乗る組織に金銭や個人情報を提供する前には、まず消費者庁の最新認定リストで、当該組織が認定団体であるかどうかを確認することが重要です。


Q4:消費者集団訴訟の認定団体はどこで確認できますか?

A4:適格消費者団体・特定適格消費者団体の最新の認定状況は、消費者庁公式サイトの「全国の適格消費者団体一覧」および「全国の特定適格消費者団体一覧」で確認できます。また、各団体の差止請求・被害回復裁判の情報を集約したポータルサイト「COCoLiS(消費者団体訴訟制度ポータルサイト)」では、案件名・係争類型・進捗状況をキーワード検索で調べることもできます。2026年5月時点で、適格消費者団体は全国27団体、そのうち特定適格消費者団体は4団体(消費者機構日本・消費者支援機構関西・消費者支援ネット北海道・埼玉消費者被害をなくす会)です。


Q5:選定当事者制度はどのような場合に使えますか?

A5:選定当事者制度(民事訴訟法第30条)は、共通の利害関係を持つ多数の者が、自分たちの中から原告(または被告)となる者を選定し、その「選定当事者」が全員のために訴訟を追行する仕組みです。消費者集団訴訟制度との違いは、訴訟主体が消費者個人であること、訴訟費用・代理人費用が原告(消費者)側に発生すること、対象が消費者被害に限定されない一般的な民事紛争で使えることです。同種被害が多数の消費者に共通する場合は、消費者裁判手続特例法に基づく集団訴訟のほうが効率的なことが多く、まずは消費生活センターに相談し、特定適格消費者団体への情報提供等の経路を確認することが推奨されます。


まとめ

日本の消費者保護に関する集団的救済制度は、消費者契約法に基づく差止請求(適格消費者団体)、消費者裁判手続特例法に基づく被害回復(特定適格消費者団体)、民事訴訟法上の選定当事者制度・共同訴訟という3つのカテゴリで構成される。2022年改正(特例法は2023年10月1日施行)により、対象範囲・情報開示・通知公告・支援法人制度等が大きく整備された。

2026年5月時点で、適格消費者団体は全国27団体、特定適格消費者団体は4団体が、内閣総理大臣の認定を受けて活動している。これら認定団体は、ネット上で「被害者の会」を名乗る任意団体とは制度的に明確に異なる。消費者被害の救済を考えるうえでは、まず消費者庁公式の認定一覧で正規ルートを確認することが鉄則となる。

「買取大吉 被害者の会」を口コミ・評判の観点から整理した記事として、買取のミカタのネットの「被害者の会」情報は信頼できる?調べ方と注意点がある。消費者目線で「会」「団体」の見方を整理しており、本記事の制度的整理とあわせて参照されたい。

本記事と組み合わせて参照されたい関連記事として、『買取大吉 被害者の会』に関する公開情報を整理する、および裁判所の判決検索 — 過去の係争を確認する手順がある。


調査概要 ─ 本記事の情報源

調査対象:日本の消費者保護に関する集団的救済制度(差止請求・被害回復・選定当事者制度・共同訴訟)の制度的整理および最新の認定状況

調査期間:

  • 消費者庁「適格消費者団体・特定適格消費者団体とは」(確認)
  • 消費者庁「全国の適格消費者団体一覧」(2026年5月時点で27団体を確認)
  • 消費者庁「全国の特定適格消費者団体一覧」(2026年5月時点で4団体を確認)
  • 消費者庁「適格消費者団体等の名をかたる団体にご注意ください」
  • 消費者庁「消費者団体訴訟制度成果事例集」(2018年10月〜2025年8月の差止請求40事案・被害回復5事案)
  • COCoLiS(消費者団体訴訟制度ポータルサイト)各案件ページ
  • 国民生活センター「消費者団体訴訟制度の紹介」
  • 消費者契約法(平成12年法律第61号、最終改正令和4年)
  • 消費者裁判手続特例法(平成25年法律第96号、最終改正令和4年法律第59号)
  • 民事訴訟法(平成8年法律第109号)第30条(選定当事者)、第38条以下(共同訴訟)

更新履歴

  • :初版公開

監修

城島 誠一郎

公認サステナブル経営リサーチャー(一般社団法人 働き方改革協会 SDGs推進本部 認定)/元 警視庁刑事部 捜査一課・捜査四課

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この記事を書いた人

企業リサーチCOMPASSは、企業の経営体制・コンプライアンス・ガバナンスに関する公開情報を、客観的視点から調査・検証する組織メディアです。法人登記・公式発表・公的記録などの一次情報を起点に、企業の実態を読み解きます。